企業のSNSは、投稿担当者、広告担当者、確認者、外部制作会社など、多くの人が関わるほど運用しやすくなります。一方で、全員が同じIDとパスワードを使う状態では、誰が何を変更したか分からず、退職後もアクセスが残るおそれがあります。
大切なのは、担当者を疑うことではなく、異動や端末紛失が起きても事業を止めない仕組みを先に作ることです。TikTok・Instagram・LINE公式アカウントを複数人で安全に扱うための実務手順をまとめます。
共有パスワードをやめ、会社が所有権を持つ
最初に決めるべきなのは、アカウントの所有者です。登録メールアドレス、電話番号、請求先、復旧先は、担当者個人ではなく会社が継続管理できるものにします。個人の携帯電話や退職予定者のメールだけが復旧手段になっていると、緊急時に本人へ連絡できず、事業側で取り戻せない場合があります。
日常運用では、サービスの招待機能を使い、一人ずつ別の利用者として追加します。パスワードをチャットや表計算で共有せず、各人に必要な範囲だけを割り当てる「最小権限」が基本です。
- 所有者・主管部署:登録情報、規約対応、支払い、復旧を管理する
- 管理者:メンバー追加や権限変更を行う。常時必要な少人数に限る
- 運用担当者:投稿、コメント対応、分析など担当業務だけを行う
- 外部パートナー:契約期間と対象アカウントを限定して付与する
運用開始前に権限台帳と承認ルールを作る
権限管理は管理画面だけで完結させず、「誰が、どの媒体で、何をできるか」を台帳に残します。項目は氏名、所属、会社メール、媒体名、権限、付与日、期限、承認者で十分です。外部委託には契約終了日も入れ、期限前に見直せる状態にします。
付与するときの手順
- 業務内容から、投稿・返信・広告・請求・メンバー管理の要否を分ける
- 本人の業務用アカウントを招待し、管理者権限は必要な場合だけ付ける
- 二段階認証を有効にし、復旧コードは会社指定の安全な保管先へ置く
- 本人と上長で実際の表示範囲を確認し、台帳へ付与日を記録する
投稿者と承認者を分けると、誤投稿や表現上の問題にも気づきやすくなります。小規模な組織でも、管理者を一人だけにせず、責任者と予備担当の二系統を用意すると引き継ぎが安定します。
媒体ごとの権限機能を使い分ける
Instagram・Facebook
Metaのビジネスポートフォリオやページアクセスを利用し、ページ、Instagram、広告アカウントなど対象資産ごとに権限を付けます。すべてを変更できる権限は責任者に絞り、制作担当にはコンテンツなど必要なタスクだけを割り当てます。詳細はMeta公式ヘルプで現行画面を確認してください。
TikTok
TikTok Business Centerでは、管理者と標準メンバーを分け、標準メンバーには担当するアカウントや資産だけを割り当てます。広告費や請求情報を扱わない担当者に財務権限を付ける必要はありません。招待と権限の考え方はTikTok公式ヘルプで確認できます。
LINE公式アカウント
LINE Official Account Managerの「設定」から権限管理を開き、個別にメンバーを追加します。認証用URLは対象者だけへ送り、転送や使い回しを避けます。権限の変更・削除方法はLINEヤフー公式マニュアルを参照すると確実です。
退職・異動日はアクセス削除を業務として実行する
「引き継ぎが終わったから大丈夫」ではなく、最終勤務時刻に合わせて削除担当者が作業します。人事、所属責任者、SNS管理者が同じチェックリストを使うと漏れを減らせます。
- 予約投稿、下書き、素材、問い合わせ履歴、取引先連絡先を会社側へ引き継ぐ
- 各SNSのメンバー一覧から本人と不要な外部パートナーを削除する
- 投稿予約、分析、動画編集、クラウド保存、広告管理など連携サービスも解除する
- 共有を避けられなかったパスワード、APIキー、復旧コードを変更し、全端末のセッションを見直す
- 別の管理者で投稿・予約・広告・問い合わせ対応ができるか確認し、実施時刻を台帳に残す
削除後は、元担当者の表示がメンバー一覧に残っていないことまで確認します。退職者本人へ削除を任せきりにせず、会社側の管理者が結果を記録することが重要です。
乗っ取り時の初動と定期点検を決める
不審な投稿、見覚えのない広告、登録メール変更の通知があれば、まず画面、時刻、通知メールを保存します。その後、登録メールの安全確認、パスワード変更、全セッションの終了、二段階認証の再設定、見知らぬ管理者や連携アプリの削除を順に進めます。広告出稿がある場合は配信状況と請求履歴も確認し、被害が疑われるときは各サービスの公式窓口へ申告します。
平常時は月1回を目安にメンバー一覧と連携サービスを確認し、四半期ごとを目安に台帳と実画面を照合します。偽の認証通知や案件依頼からログインさせる手口もあるため、リンク先のドメインを確認し、認証コードを他人へ渡さない教育も欠かせません。
安全なSNS運用体制を一緒に整えます
権限管理は、一度設定して終わりではありません。企画、動画制作、投稿、コメント対応、LINE配信までの担当と承認経路を整理すると、安全性と運用速度を両立しやすくなります。
株式会社ネクステでは、TikTok・Instagram・LINE公式アカウントの運用設計から制作、改善まで一気通貫で支援しています。現在の権限が分からない、退職者対応の手順から整えたいという場合も、まずはSNS運用の無料相談から状況をお聞かせください。